医療崩壊に向けてのカウントダウン!!
- 2008/03/08 18:19
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総務省は「公立病院改革懇談会」を設置して、「公立病院改革ガイドライン」の策定作業をすすめた結果、財政面からの効率性を追求することを基本に、「改革」をすすめようとしている。
「公立病院改革ガイドライン」では、「経営効率化」「再編・ネットワーク化」「経営形態の見直し」の「3つの視点」で一体的に推進することが必要とし、特に留意する意見として、自治体の長と病院管理者に「自助努力、独立採算」を求め、都道府県知事に対しては、医療法に基づく医療計画の見直しとの整合性を図ることや、「改革」促進の旗振り役となることを強調している。
そして病院事業を設置する自治体にたいして、2008年度内に「公立病院改革プラン」の策定を求めるとともに、「経営効率化」は3年程度、「再編・ネットワーク化と経営形態の見直し」は5年程度で行うよう求めている。この中では、「病床利用率が3年間連続して70%未満の病院については、病床数の削減・診療所化等の見直し」、二次医療圏単位での自治体病院の再編・ネットワーク化と「民間含む医療機関全体での再編」、地方独立行政法人化(非公務員型)・指定管理者制度の導入・民間譲渡などに加え、「診療所化や老人保健施設・高齢者住宅事業等への転換」など、新たな方向性が打ち出されている。
これらは、二つの点で重大な問題がある。一つは地方自治への侵害である。経常収支比率や職員給与比率・病床利用率などの数値目標の設定や点検・評価を求め、「財政支援措置等」で政策誘導をするなど「技術的助言」の域を踏み外し、自治体・自治体病院運営への介入になりかねない。もう一つは、自治体病院の役割を矮小化し、経営効率最優先での「改革」を求めていることであり、これでは自治体の公的な責任の縮小・放棄に繋がり、地域医療がいっそう後退する危険がある。「ガイドライン案」は「公立病院の果たすべき役割の明確化」として、主な機能を例示しているが、自治体と自治体病院にとってもっとも重要な、地域の医療実態をどのように把握し、健康で安心して住み続けられる地域づくりにむけてどのような役割をはたすのかという視点が全く欠落している。
いま、全国各地で、医師・看護師不足、医療制度の相次ぐ改悪、市町村合併などのもとで、病院をはじめとする医療機関の閉鎖・再編による地域医療の後退など「医療崩壊」ともいえる事態が進行している。「医療難民」「お産難民」がうまれるなど、いのちにまで所得格差・地域格差が広がり、生存権を保障する上で基本となる医療が受けられない深刻な事態が広がっている。こうした「非常事態」とも言える状況のもとで、先の参議院選挙では、自・公連立政権がすすめた、貧困と格差拡大の構造改革路線に厳しい審判が下された。
しかし、今回の「公立病院改革ガイドライン」は地域医療と自治体病院に新たな困難を押しつけるものとなっている。
いま政府に求められているのは、地域格差が生じている、地域医療の深刻な現状を正しく認識・分析し、その上で、憲法25条に基づき国として立て直す「緊急対策」の実施と、その中で自治体病院の役割をどのように発揮するのかという視点から、自治体に対する財政補償を行い、検討をすることである。同時に、大企業・富裕層へのEU並みの負担を求め、無駄な大型公共事業と軍事費を聖域なく見直して、社会保障と医療費総額を増やす政策に大胆に転換することである。
社会保障費・医療費削減の為の「公立病院改革」ではなく、地域住民によってつくられ、国民・住民、だれもが、いつでも、どこに住んでいても安心して医療が受けられ、自治体の行政機関の一つとして「健康で安心して住み続ける地域づくり」をすすめるという自治体病院の役割が発揮できる住民本位の病院改革と大幅な社会保障・医療費増額をめざして取り組みが急務である。
自治労連から引用。
このままでは三年後、医療完全に崩壊してしまうかもしれない。命を粗末にする、国に未来はない。

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