不正受験について
- 2015/02/15 15:37
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国家試験直前のため「××をしたら不正受験とみなされてしまうのではないか」といった心配の書き込みが散見されます。学校内などで根拠不明の噂が出ていることは容易に想像がつくので,現実について書き込みます。
【不正受験の摘発は容易でないこと】
国家試験で不正行為を行った者に対しては,受験の中止・合格決定の取り消しなどの極めて大きな不利益があります。
でも,不正受験だと判断して受験を中止させたものの,不正受験ではなかったことが判明したとしたら,その受験生のためだけに再試験の実施を行う必要も生じますし,場合によっては,濡れ衣を着せられたことの精神的苦痛・再試験対策に要した費用等を償うため国家賠償義務を負いかねません。
そのため,「なんか怪しい」程度のレベルで簡単に摘発などできません。
また,合格決定の取り消しを行う場合には,行政手続法の規定に定める聴聞手続を行わなければなりません。聴聞手続の際は,それに先立って不正受験をしたと認定するのに足りる資料を厚労省(准看護師なら都道府県)側が用意しなければならず,その資料は事前に受験生が閲覧することができます。受験生は弁護士を依頼することができ,弁護士が聴聞手続・訴訟手続を代理することができます。
そのため,厚労省側は,不正受験と認定した証拠を確実に握っている必要があります。
だから,不正受験の認定など,そう簡単にできないのです。
そして,情報公開制度の下,不正受験生に対する処分があったことは公開されます(受験生氏名は公開されませんが,不正受験者に対して行った処分の内容などが公開されます。)。
これらのことから,易々とは不正受験認定などできないことはお分かり頂けると思います。
【遵守事項違反の摘発は比較的簡単なこと】
一方で,受験票に受験上の注意等に禁止事項として記載されていること,当日試験監督官から口頭で注意喚起されていることを行ったような場合には,いくら不正受験の意思がなかったとしても不正認定される可能性が高いと考えたほうがいいです。
例えば,参考書・ノートなどを鞄にしまうように言われていたのに,机上に出していたなどという場合には,いくら「見るつもりはなかった」と言っても不正認定されても仕方がないということになります。このような場合,複数の監督官から「当該受験生の机上に参考書が置かれていたことを確認した」との調書が提出されれば,裁判まで行っても不正認定を覆すのは困難だと思います。
また,筆記具入れの中に付箋が入っているような場合には,カンペ持ち込みと言われる可能性がありますから(「この数字は宿泊したホテルの部屋番号だ。」と言っても,通用しない可能性があります。),筆記具入れの中に筆記具以外のもの(特に紙類)は絶対に入れないようにするなどの配慮は必要です。
飲食禁止なのに,試験室内でペットボトルのお茶を飲む。試験監督が試験の説明をしていて席を離れることが禁止されているのに席を立つなんてのは論外で,監督官の指示遵守違反で不正受験とされる可能性があります。
【結論】
試験前日・試験当日は受験上の注意をよく読み,試験監督の注意をよく聞き,万が一にもそれにひっかかるようなことがないようにしていれば,それ以上余計な心配をする必要はありません。
試験開始後は,「不正受験扱いされるのではないか。」などと余計なことは考えず,全力で問題に当たればいいんです。
日本は法治国家ですから,試験上の注意事項を順守し,不正受験をする意思もないのであれば,余計な心配する必要はありません。
試験直前で,訳の分からない噂も流れますが,そんなのに振りまわれさるだけ時間の無駄です。
※ この書き込みは,不正受験をするつもりがないのに,不正受験と思われたらどうしようなどと心配している人に向けて書いたものです。決して「不正受験をしてもバレなければ大丈夫」という意味で書いたのではありません。不正受験なんて愚かなことを考える時間があれば,知識の1つでも叩きこんでください。
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